退去費用のクロス張り替え代|全面張替えは貸主負担?
クロス張替えの3原則
原則1:通常損耗は貸主負担。日焼け、画鋲穴、電気ヤケ、家具跡等は通常の使用であり借主は払わない。
原則2:部分補修が原則。一部の傷に対して壁全面・全室のクロス張替えは認められない。損傷箇所の㎡単位の補修が適正。
原則3:6年で残存価値1円。借主の過失でクロスを傷つけた場合でも、6年以上住んでいれば借主負担はほぼゼロ。タバコのヤニでも同じ。
詳しい計算と居住年数別の早見表は壁紙の減価償却で解説しています。
クロス張替えの相場
| 項目 | 相場 | 備考 |
|---|---|---|
| クロス張替え(1㎡あたり) | 850〜1,500円 | 量産品は850〜1,000円、高級品は1,200〜1,500円 |
| 部分補修(1箇所) | 数千〜1万円 | 損傷箇所のみ |
| 6畳全面張替え(約30㎡) | 40,000〜60,000円 | 原則借主負担にならない |
| 1K全室(約30㎡) | 25,000〜36,000円 | 壁のみ。天井含まず |
| 3LDK全室(約70㎡) | 60,000〜84,000円 | 壁のみ |
居住年数別の借主負担
| 居住年数 | 残存価値 | 張替え6万円の場合の借主負担 |
|---|---|---|
| 1年 | 約83% | 約50,000円 |
| 3年 | 50% | 30,000円 |
| 5年 | 約17% | 約10,000円 |
| 6年以上 | 1円 | 1円 |
見積書のクロス張替え費用が全額請求されていたら、居住年数に応じた残存価値を主張してください。
最も多い過剰請求パターン
退去費用トラブルの最大の争点はクロスです。最も多い過剰請求パターンは「1箇所の傷→全室張替え」。
例:リビングの壁に1箇所傷がある場合
- 適正な請求:損傷箇所の部分補修(約1,000〜5,000円)× 残存価値率
- 不当な請求:全室クロス張替え(3〜8万円)の全額
30〜80倍の差があります。さらに6年以上住んでいれば残存価値1円なので、借主負担はほぼゼロです。
「全面張替え」を請求された場合の交渉方法
以下のメールで交渉してください。
「国土交通省のガイドラインによりますと、クロスの原状回復は毀損部分の補修が原則とされております。また、クロスの耐用年数は6年であり、〇年居住の残存価値は約〇%です。つきましては、部分補修での対応と残存価値を考慮した再算定をお願いできますでしょうか。」
筆者の実例:289,300円→0円
クロス全面張替え289,300円を請求されましたが、6年居住で残存価値1円。メール1通で「残存価値が1円であることは承知しております」と管理会社が認め、0円に。メール1通で約29万円が消えた瞬間です。交渉方法で詳しい手順を解説しています。
よくある質問
Q. クロス全面張替えの全額を払った。取り戻せる?
ガイドラインに反する請求であれば不当利得として返還請求が可能です(民法703条)。時効は5年。
Q. タバコのヤニでも6年以上なら1円?
はい。タバコのヤニは借主負担ですが、6年以上住んでいればクロスの残存価値は1円です。ただし下地ボードまでヤニが染みている場合、ボードの補修費は別計算です。
Q. 単価が高すぎる気がする
量産品クロスは850〜1,000円/㎡が相場です。1,500円/㎡を超える場合は「入居時のクロスは量産品ではありませんか?」と確認してください。
まとめ
クロスの退去費用は3原則で判断:①通常損耗は貸主負担、②部分補修が原則、③6年で残存価値1円。全面張替えの全額請求は不当です。筆者はクロス289,300円をメール1通で0円にしました。見積書にクロスの高額請求があったら、この3原則で交渉してください。
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※国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」および改正民法621条に基づく情報です。個別のケースは弁護士等にご相談ください。
参考:国土交通省ガイドライン|無料相談:消費者ホットライン 188|不動産適正取引推進機構