退去費用で床の傷はいくら?フローリング補修の相場と負担の考え方
この記事の目次
床の傷の種類別:払う?払わない?
| 傷の種類 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 家具の設置跡・へこみ | ❌ 払わない | 通常の使用。ガイドラインで明記 |
| 日焼けによる変色 | ❌ 払わない | 経年変化 |
| ワックスの剥がれ | ❌ 払わない | 通常の使用による摩耗 |
| 冷蔵庫跡の床の黒ずみ | ❌ 払わない | 電気焼け。通常の使用 |
| キャスター付き椅子の跡 | ⚠ 状況次第 | マットなしで深い傷なら過失の可能性 |
| 物を落とした凹み | ✅ 部分補修のみ | 過失。損傷箇所のリペアのみ |
| 引っ越し時の引きずり傷 | ✅ 部分補修のみ | 過失。ただし損傷箇所のみ |
| ペットの爪傷 | ✅ 部分補修のみ | 通常損耗を超える使用 |
| 水こぼしの放置によるシミ | ✅ 部分補修のみ | 善管注意義務違反 |
| フローリング全面張替え | ❌ 原則払わない | 部分補修が原則。一部の傷で全面は不当 |
フローリング補修の相場
| 補修内容 | 相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 小さな傷・へこみのリペア | 8,000円〜2万円 | 1㎡以下。専門業者による充填・着色 |
| 焦げ跡・シミの補修 | 1〜3万円 | 損傷の深さによる |
| 部分的な板の張替え | 2〜5万円 | 数枚の板の交換 |
| 補修箇所が複数ある場合 | 3〜6万円 | 箇所数と深さによる |
| 全面張替え(6畳) | 9〜18万円 | 1㎡あたり約1万円 |
| 全面張替え(1K全体) | 10〜20万円 | 原則借主負担にならない |
| 全面張替え(3LDK全体) | 30〜60万円 | 原則借主負担にならない |
部分補修(8,000〜5万円)と全面張替え(10〜60万円)では10倍以上の差があります。「部分補修が原則」というガイドラインの基準を主張するだけで、大幅な減額が期待できます。
床材の種類別:減価償却のルール
床材の種類によって減価償却のルールが異なります。交渉時の重要ポイントです。
| 床材の種類 | 耐用年数 | 減価償却 | 6年居住時の借主負担 |
|---|---|---|---|
| クッションフロア | 6年 | あり(クロスと同じ) | 残存価値1円。ほぼ0% |
| カーペット | 6年 | あり | 残存価値1円。ほぼ0% |
| フローリング | 建物に準ずる | 適用されにくい | 部分補修費用のみ |
| 畳 | 経年劣化考慮なし | 適用されにくい | 表替え1畳5,000〜8,000円 |
重要:クッションフロアは壁紙と同じ6年で残存価値1円。6年以上住んでいれば傷があってもほぼ0円です。一方、フローリングは「建物に準ずる」とされ6年で1円にはなりませんが、ガイドラインでは「年数が経過するほど借主の負担割合は減少する」としており、10年以上住めば大幅に軽減されます。
「床材が廃盤」「全面張替えが必要」と言われたら
「床材が廃盤のため全面張替えが必要」と言われるケースがあります。しかし、床材の廃盤リスクは貸主が負うべきものです。廃盤を理由に全面張替え費用を借主に請求することは認められません。
- 色味の近い材料での部分補修を主張する
- 部分補修が不可能でも、借主が負担すべきは補修費用の相当額のみ
- 「廃盤」の証拠(メーカー通知等)の提示を求める
床の傷の退去費用を交渉する方法
床の傷で高額請求された場合のメール交渉の例文です。
「国土交通省のガイドラインによりますと、フローリングの原状回復は毀損部分の補修(部分補修)が原則とされております。全面張替えの費用を借主に請求するのは、ガイドラインの基準と異なると考えますが、部分補修での対応をご検討いただけますでしょうか。」
筆者はこの1通で全面張替え368,500円→部分補修77,000円に変更させました。
筆者の実例:368,500円→77,000円
筆者の床の張替え費用は368,500円(全面張替え)でした。「ガイドラインでは部分補修が原則」とメールで伝えたところ、部分補修77,000円に変更。差額291,500円の削減です。全面→部分補修の一言で29万円が消えました。床の退去費用で最も重要なのは「部分補修が原則」この一点です。
よくある質問
Q. フローリングの傷で全額請求されたが適正?
全面張替えの全額請求は不適正です。部分補修が原則であり、損傷箇所の修繕費(8,000円〜5万円程度)のみが借主負担です。
Q. クッションフロアの傷の退去費用は?
クッションフロアの耐用年数は6年です。6年以上住んでいれば残存価値は1円。壁紙と同じ減価償却ルールが適用されるため、借主負担はほぼ0円です。
Q. 床の傷を自分で修繕してから退去すべき?
おすすめしません。かえって傷が悪化したり、管理会社から「勝手な修繕」と見なされるリスクがあります。退去後の見積書をガイドラインに基づいて交渉する方が確実です。
Q. 床に保護マットを敷いていなかったのは過失?
マットを敷いていなかったこと自体は過失ではありません。ただし、キャスター付き椅子を直接使って深い傷をつけた場合は「善管注意義務違反」として借主負担になる可能性があります。
まとめ
床の傷の退去費用は「傷の種類」「補修範囲」「床材の種類」で大きく変わります。家具跡・日焼け・冷蔵庫跡は貸主負担。全面張替えではなく部分補修が原則。クッションフロアは6年で残存価値1円。この3点を押さえれば大幅に負担を減らせます。筆者は全面張替え368,500円を部分補修77,000円に変更しました。
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※国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」および改正民法621条に基づく情報です。個別のケースは弁護士等にご相談ください。
参考:国土交通省ガイドライン|無料相談:消費者ホットライン 188|不動産適正取引推進機構