退去費用はいつ払う?請求から支払いまでの流れと期限
この記事の目次
退去から支払いまでの全体の流れ
退去費用の支払いは、退去日当日に行うものではありません。精算書で金額が確定してから支払うのが一般的です。全体の流れは以下の通りです。
| ステップ | 時期 | やること |
|---|---|---|
| ①退去の申告 | 退去の1〜2ヶ月前 | 管理会社に書面で解約通知 |
| ②退去立会い | 退去日当日 | 管理会社と部屋を確認。損傷箇所を写真に記録 |
| ③精算書が届く | 退去後2週間〜1ヶ月 | 内容を精査する(ここが最重要) |
| ④交渉(必要な場合) | 精算書到着後 | メールで根拠を示して減額交渉 |
| ⑤合意・支払い | 交渉決着後 | 合意した金額を振込(期限は通常30日以内) |
退去費用が確定するまでには、管理会社が修繕業者に現場を確認させ、見積書を作成する工程が必要です。そのため退去当日に金額がわかることはほぼありません。
精算書・見積書はいつ届く?届かない場合は?
精算書(退去精算書・敷金精算書)は、退去後2週間〜1ヶ月で届くのが一般的です。届くまでの期間は管理会社や修繕の規模によって異なります。
届くのが遅れる主な理由:
- 修繕範囲の判断に時間がかかっている
- 外部業者への見積もり依頼の待ち時間
- 大家(貸主)の承認プロセスが必要
1ヶ月経っても届かない場合は、管理会社にメールで問い合わせてください。2ヶ月以上音沙汰がないケースもありますが、「請求が来ないから払わなくていい」わけではありません。ただし、退去費用の請求には時効があり、原則として退去から5年で時効が成立します(民法166条)。
退去費用の支払い方法
退去費用の支払い方法は銀行振込が基本です。精算書に記載された口座に、指定された期限内に振り込みます。
| 支払い方法 | 対応状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 銀行振込 | ほぼ全ての管理会社 | 振込手数料は借主負担が多い。契約者名義で振込 |
| 敷金からの相殺 | 敷金を預けている場合 | 差額が返金される。不足分は追加請求 |
| 口座振替(引落し) | 一部の管理会社 | 引落日と残高を確認。退去後の解約手続きも必要 |
| クレジットカード | 大手の一部のみ | 大東建託・レオパレス等は対応。一括払いが基本 |
分割払いは原則として対応していません。分割を希望する場合は、管理会社への交渉が必要です。詳しくは退去費用の分割払いを参照してください。
敷金がある場合とない場合の違い
敷金ありの場合
敷金は退去費用に充当されます。計算式は「敷金 − 退去費用 = 返金額(またはマイナスなら追加請求)」です。退去費用が敷金の範囲内であれば追加の支払いは不要で、差額が返金されます。
敷金の返金時期は退去後1〜2ヶ月が目安です。敷金で相殺される場合でも、精算書の内訳は必ず確認してください。内訳を確認しないと、払わなくていい項目まで敷金から差し引かれている可能性があります。
敷金なしの場合
敷金なし物件は初期費用が安い反面、退去時に全額を自己負担で支払う必要があります。相殺できる敷金がないため、精算書に記載された金額をそのまま振り込むことになります。
敷金なし物件では、契約時に定額クリーニング費や短期解約違約金が設定されている場合があります。入居時の契約書を確認してください。
精算書が届いたらやるべき3つのこと
①合計金額が相場の範囲内か確認する:退去費用の相場と比較してください。間取り別の目安は、1R・1Kで2〜4万円、1LDK・2DKで4〜7万円、2LDK・3DKで5〜8万円です。相場の2倍以上であれば、不当な項目が含まれている可能性が高いです。
②各項目が払わなくていいものに該当しないか確認する:経年劣化や通常損耗(日焼け、家具の設置跡、画鋲の穴など)は貸主負担が原則です。これらの項目が借主負担として計上されていないか確認してください。
③6年以上住んでいる場合、減価償却が反映されているか確認する:壁紙(クロス)の耐用年数は6年です。6年以上住んでいれば残存価値はほぼ1円。新品価格の全額を請求されている場合は減額の根拠になります。
支払期限はいつ?すぐに払うべきか
精算書に記載された支払期限は、届いてから2週間〜30日以内が一般的です。
金額に疑問がなければ:期限内に振り込んでください。
金額に疑問がある場合:支払期限内であっても、「内容について確認したい点があるため、確認後にお支払いいたします」とメールで伝えてください。交渉中は支払いを保留しても問題ありません。ただし、必ず連絡は入れてください。
絶対にやってはいけないのは「放置」です。疑問があるなら交渉する。交渉する意思があることを伝えておけば、支払期限を多少過ぎても即座にトラブルになることは通常ありません。
退去立会いでサインを求められたら
退去立会い時に「退去確認書」へのサインを求められることがあります。その場でサインする必要はありません。「見積書を確認してから後日お送りします」で十分です。
サインは「現状の確認」であって「金額への同意」ではありませんが、後から争う際に不利になる可能性があります。立会い時にやるべきことは以下の3点です。
- 管理会社が指摘した損傷箇所を写真に撮る(日時入り)
- 指摘内容と説明をメモする
- 確定金額ではないことを口頭で確認する
精算書の内訳がおかしい場合のチェックポイント
精算書を受け取ったら、以下のパターンに該当しないか確認してください。いずれも過大請求の典型例です。
①部分的な損傷なのに全面張替えになっている:壁紙の一部に傷がある場合、原則は部分補修です。全面張替えの費用を請求されている場合は根拠を確認してください。
②クリーニング代と汚れ除去費の二重計上:ハウスクリーニング代に加えて、個別の汚れ除去費用が重複して計上されていないか確認してください。
③単価が相場より明らかに高い:クロス張替えは6畳で4〜5万円程度が相場です。相場を大きく上回る単価の場合は、詳細な見積もりの提示を求めてください。
④畳や壁の面積が実際より大きい:面積を水増しして請求されるケースがあります。契約書に記載の専有面積と照合してください。
疑問がある場合は「内訳の根拠資料を提示してください」とメールで依頼してください。全面否定ではなく、疑問のある項目を具体的に指摘するのが効果的です。
支払いを放置するとどうなる?
「金額に納得がいかない」「お金がない」と放置するのは最も危険な対応です。以下の順で状況が悪化します。
第1段階:管理会社から督促
支払期限を過ぎると、電話・ハガキ・メールで督促が届きます。この段階なら交渉の余地があります。
第2段階:保証会社が代位弁済
保証会社を利用している場合、管理会社に代わって保証会社が立て替え払いし、以降は保証会社からの取り立てになります。条件が厳しくなります。
第3段階:法的手続き
長期間放置すると、少額訴訟や支払督促に進む可能性があります。確定判決が出れば、給与や銀行口座の差し押さえが行われることもあります。
納得がいかない場合は「払わない」のではなく「根拠の提示を求める」対応をしてください。妥当な部分は支払い、争点部分は保留するという選択肢もあります。
筆者の実例
筆者の場合、退去から約2週間で精算書がメールで届きました。金額を見た瞬間に710,300円という数字が目に飛び込みましたが、感情的にならず翌朝まで待ちました。翌朝、精算書の内訳をガイドラインと照合し、「払わなくていいもの」を洗い出した上でメールを1通送りました。そこから10日間の交渉で148,750円まで減額。精算書が届いてからの初動が全てを決めます。すぐに振り込まず、内容を精査してください。
よくある質問
Q. 退去費用は引っ越し前に払う?
いいえ。退去費用は退去後に精算書が届いてから支払います。引っ越し前に「退去費用の前払い」を求められることは通常ありません。もし求められたら不審なケースです。
Q. 敷金から自動的に引かれるのですか?
はい。敷金がある場合、退去費用は敷金から差し引かれます。精算書(敷金の返還明細)が届くので、差し引かれた内訳を必ず確認してください。払わなくていい項目まで引かれている可能性があります。
Q. 精算書に記載された金額は絶対か?
いいえ。精算書の金額は管理会社が算出した金額であり、確定ではありません。ガイドラインに照らして不当な項目があれば、交渉で減額できます。筆者は71万→14万に減額しました。
Q. 退去費用を減額交渉したら支払期限はどうなる?
交渉中であることを管理会社に伝えていれば、支払期限は実質的に延長されます。「内容を確認中のため、確認後にお支払いします」とメールで伝えてください。
Q. 退去立会いなしで退去した場合は?
鍵を郵送で返却し、立会いなしで退去するケースもあります。この場合も精算書は後日届きます。ただし、立会い時の写真記録がないため、管理会社の主張が通りやすくなります。可能な限り立会いには参加してください。
まとめ
退去費用は退去後2週間〜1ヶ月で精算書が届き、支払期限は届いてから30日以内が一般的です。支払い方法は銀行振込が基本で、敷金がある場合は相殺されます。最も重要なのは、精算書が届いたらすぐに振り込まず、内容をガイドラインと照合すること。「払わなくていいもの」が含まれていないか確認してから支払ってください。
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